同期との飲み会2回目。理子は今日も早めに仕事を切り上げて、オフィスを出た。他のメンバーも今日は時間通りに来ていて、さっそく飲み会が始まる。しばらくみんな他愛もない話をしたあと、話題が恋愛へと移る。

「みんな、恋人いるの? 桃川ちゃんは?」

「今はいないかな~」

「どのくらいいないの?」

「うーん、1年くらい?」

「へー。じゃあチャンスってことだ?」

「ええ~、何のチャンス~?」

大森は桃川にぞっこんのようだ。今回の飲み会の企画者も大森だったし、おそらく桃川に会いたいがためにこの機会を作ったのだろう。

「岡っちは?」

「え、私? いないよ」

川谷から雑に話題を振られ、笑顔でかわす。

「いないんだ。結構、理想が高いわけ?」

「いやいや、私の顔で高望みできると思う? 普通に相手がいないの」

「へ~でも実際、岡っちみたいなのが男からしたら親しみやすいんじゃないの」

「あ~……まあ私、ちょうどいいブスだからね」

親しみやすい、という言葉が嫌いだ。美人すぎると声がかけづらくて、いい感じにブスだと自分でもイケそうだと男の人に思わせられるらしい。自分に自信のない男性にも、勇気を分けてあげられる存在。それが『ちょうどいいブス』なのだ。

別にそれで自分をブランディングしている人のことをどうこう言うつもりはないが、理子の場合は周囲からそう言われることが多くて、そのたびに傷ついた。だから今はもう、自分からそう言うようにしている。他人から言われるよりも、自分から言ったほうが傷は浅い。

「そうそう。だから岡っちは、意外とモテるかもと思ったんだけど」