「なんと、まだ小学生でしょう」

「そんなの人それぞれよ。私は父のキリオから自立を促されていたの。きちんと盗みのテクニックを教えてもらった。盗んだものを父に渡せば安いけど小遣いをくれた。特に喜ばれるのが煙草とかお酒。もっと大切なことも教わったわ。たとえば武器の使い方。そんなことは学校へ行っても教えてくれないぞと父は自慢してた」

「本当に学校へは行ってないのですか」

「そうよ」

「でも最低限の教育は必要でしょう。読み書きとか」

「私は地頭がいいの。知識なら本屋の立ち読みや図書館とかで十分。子供ながら大人顔負けという自信があったわ。あとは早く大きくなって、立派な殺し屋になるのが夢だった」

店長はイチコの目を直視した。そこには一点の曇りもない。

「失礼ですが、お父様はどんなお仕事でした?」

「ひどい質問ね」

「すみません。つい――」

「まあ、いいわよ。父の仕事はひと口で言えば、闇の仕事かな。裏組織の抗争とかがあったらよく助っ人で参戦していたし、他にもやばいことは色々やってたみたい。でも詳しいことは知らないの。ほとんどが夜の仕事で、昼間は家でごろごろしていた。あの頃は工事予定の空家地帯に勝手に住んでたの。電気も水道もない暮らしよ」

「風呂もなしですね」

「そんなのは公園の池とか水道で何とかなるわ」

「なるほど。ところでデパートでは何を狙ってました?」