涙の代役盗癖

おひさま学級の三年生に知的障害のある女児がいた。

担任したての頃、多動のY君はいつどこへ行くかわからないため、私は彼をいつも目の届くところに置き、移動するときは連れ歩いていた。

校長先生はおひさま学級の一番の理解者なので、職員室に行くときも連れていけた。

しかし、私がトイレに行くときだけは目を離さないわけにいかないので、彼女に、「Y君を見ていてね」と頼んだ。とても優秀な助手(?)で安心して任せられた。

しかし彼女には一つだけ困ったことがあった。盗癖である。

隣の教室に誰もいない時など、些細な小物、手の中に隠れるような消しゴムとか折り紙とか、ちょっとした物を持ってくる、というより盗んでくる。

彼女の持ち物ではないとピンとくるので「先生に欲しいと言ってくれれば同じ物をあげるのに、どうしてよそのクラスから持ってくるの?」と何度説教しても小物をくすねる癖は変わらなかった。

しかし、どうでもいいものを盗みたい衝動に駆られるのは、決まって父親に叱られた次の日ということがだんだんわかってきた。

 

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