おひさま学級の子どもたち皆が休み時間に校庭に出て、チャイムが鳴ったら戻ってこられるようになった時、昇降口で見張りをしていた私は、T君とY君の二人が戻ってきていないことに気が付いてすぐに探しに出た。

その頃、T君は学習が大分できるようになっていた。そして、自分がY君よりできることにも気付いてきた。Y君は言葉のオウム返ししかできず、指示されたことを、指示されたままにしかできない様子をT君はチラ見していて、T君はY君に対して優越感を感じてきているようだった。

私は二人を探しに、校舎の裏手にある職員用の駐車場に行った。二人はそこにいた。

Y君は車のボンネットの上に立っていて、T君は車の横に立ってなんだかにやにや笑っていた。

Y君は体格が良いだけでなくジャングルジムのてっぺんに登り、手離しで仁王立ちするようなバランス感覚もあるのだ。

私はピンときた。T君がY君に車の上に上るように言ったに違いない。

私はY君にボンネットから下りるように言い、T君に向かって「君が車に上るように言ったんでしょ!」と、きつめに言った。

するとT君の顔はみるみる赤くなった。図星だったのだ。

自閉症児も、まずい、ばれたかの気持ちを赤面で表すのだという発見が新鮮だった。かれらの心の世界を垣間見た出来事だった。

無表情に見える自閉症児も、内面的には微妙な感情をたっぷりもっているのだということがわかり、T君に注意しながらも口元が緩んだ。