【前回の記事を読む】何度も何度も椅子やベッドから落ちる母を何十回となく抱き起こし……気づけば私の身体が壊れ始めていた
第1章 介護を通じて育む家族の愛
介護をしている人々の医師に対する切実な思い
現在、働いている医療従事者の方も、もちろん命の大切さを認識されているからこそ、この職業に就かれたのでしょうが、通院が長くなると、時々理不尽な場面を見かけることがあります。
たとえば、先日は、初診で来た高齢者の患者が、容態が悪そうなのに病院の人に言えないで、4時間待っていたという光景を見かけました。患者のことを思っていたら、そんなことはできないのではないでしょうか。
毎年必ず、研修中の若い方と病院で出会います。人間の命に関わる仕事は、学校で教わらなかった出来事の連続で苦労も多いことでしょう。
それはわかりますが、「どうか、皆さんは、それぞれの患者さんみんなに生きてきた人生があり、それぞれの事情で家族をあなたに託していることを理解しながら医療を続けてほしい」といつもその姿に祈っています。
それは、おそらく本人の努力だけでは、どうしようもないこともあるでしょう。
私は母を介護していく中で、医療に携わる方々の待遇を改善してほしいという思いが強くなっています。特に女性は、医師も看護師も、結婚・出産したあとの仕事の継続は、難しいのが現状のようです。
医療従事者になりたての方は、本業ひとつで食べていくのが大変で、アルバイトを掛け持ちしてやっと生活しているという話を聞いたことがあります。夜勤と日勤を掛け持ちして、何日も自宅へ帰っていないという方も知っています。
自分の待遇に不安を抱えていたり、限界まで働いてヘロヘロだったりする人たちが、親身になって医療に従事できるとは到底思えません。
金銭的な問題だけではなく、もっと医療従事者の増員を期待します。そして、より良い環境で是非もう一度、人間の命を預かっているという意識を持ってもらいたいのです。