図3は、3歳4か月のお孫さんが、なぐり描きをしているそばで、祖母がお手本で丸や三角、四角を、お孫さんが描いている絵の中に描き、励まそうとしたものです。お孫さんも、懸命に丸や三角、四角を描いています。お孫さんが描いた丸三角等に、おばあさんが「ゆっくんがかいた」と書いています。お孫さんを励ましているのです。

(図3)「祖母が描いた○△□の影響を受けたなぐり描き」

ところが、この子はそれ以降、おばあさんの家に来て絵を描くときは、なぐり描きをやめて、丸、三角、四角と、その形の標識を描くようになりました。標識は、いろいろな標識が組み合わされ、5歳の時に描いた図4のように発達しています。しかし、自分自身が本当に描きたいものは、おばあさんの前では描かなくなったようです。

(図4)「祖母の影響を受け描き続けた絵」

ただ、これだけの形が描ければ、いろいろな絵が描けると思います。実際、おばあさんのいない違う場所では、自由に絵を描いているようです。

成長を願う気持ちは正当なものですが、その時期にしか描けないなぐり描きや、描画を楽しむ経験も、次への発達にとって不可欠な経験になります。愛情とともに発達に応じた接し方が、親子関係にも求められます。

 

👉『なぜ、子どもはあのような絵を描くのか』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】男たちの群れの中、無抵抗に、人形のように揺られる少女の脚を見ていた。あの日救えなかった彼女と妹を同一視するように…

【注目記事】やはり妻はシた側だった?…死に際に発した言葉は素性の知れない「テンチョウ」