「まさかMRIで殺人だなんて……」

羽牟は顎をさすりながら考え込んだ。他の者たちも鍬下の推理に唖然としていた。

「まあ、今のはあくまでも僕の推理に過ぎません。その二人を厳しく問い質せば真実が明らかになるでしょう。その二人には林を殺害する動機はない。おそらく犯人から金で依頼されたことを忠実に実行しただけで、それが殺害計画であったことにも当初は気づいていなかったんでしょう。

それではこの殺害計画を企てたのは一体誰でしょうか。もちろん犯人はその日に増田脳神経外科病院にMRIが搬入されることを知っていなくてはならない。この中でそれを確実に知っていたのは増田邦史郎さんと鍋本彩斗さんのお二人だ。

ひょっとしたら理事長の家族である沙織さんや千晶さんが知っていた可能性もあるが、作業員に直接指示できる立場にあるのはやはり邦史郎さんと鍋本さんだ。

先程の話だとお二人とも林が千晶さんに悪質なストーカー行為をしていたことを知っていた。この手のストーカーは警察が何度警告しても執拗に相手に復讐しようといつまでもつけ狙う。だからどちらかが、あるいはお二人が共謀して彼女を守るために彼を抹殺したと考えられなくもない」

「私がそんなことをするわけないだろ。患者の生命を守るための大事な医療機器を殺人の道具に使うなどもってのほかだ」

邦史郎が怒気を発しながら抗議した。続いて鍋本も言った。

「僕も同じです。第一そんなことをしたら周囲の金属片も飛んできてMRIにどんな故障が起こるか分からない。大事な商品に損害を与えるようなそんな馬鹿なことできるはずがない」

次回更新は1月3日(土)、21時の予定です。

 

👉『超能力探偵 河原賽子』連載記事一覧はこちら

年末年始に、じっくり浸れるミステリー作品を、話題回のピックアップ記事と、作品別の二つのセレクトでご紹介。

読み始めたら止まらない。ミステリー特集

 

👇その他のおすすめミステリー特集はこちら
心に長く残る“謎”を集めた人気ミステリーをピックアップ。
第1回記事 父は窒息死、母は凍死、長女は溺死── 家族は4人、しかし死体は三つ、靴も3足。静岡県藤市十燈荘で起きた異様すぎる一家殺害事件