1 「貸借対照表」-「資産の部」の本質
「貸借対照表」の「資産の部」は、「立替金の視点」から9つに分解されます。企業活動において、お客様からの「立替金の回収(売上)」が必要な「立替金の支出(費用)」を明確に把握するために、この分解をします。
それぞれの分類とその詳細は以下の通りです。
①「預り資金」:企業が日々の支払いや運営に備えて保有している流動資金。
これらの資金は、企業の支払資金として使用されるもので、拘束されていない状態で現金や銀行預金として存在します。
ただし、供給者への支払い前にお客様から回収した金額や前受金、納税消費税などは、実質的に支払いが拘束されているため、余裕資金には含めず除外する必要があります。
POINT 勘定科目:現金・当座預金・普通預金など。
②「預け預り資金」:企業が節税、投資、リスク対策のために保有している資産で、通常の資金流出とは異なり、お客様からの「立替金の回収(売上)」には関与しません。
これらは企業の判断で「預り資金」として利用可能です。
POINT 勘定科目:定期預金・定期積金・前払保険料・保険積立金・有価証券など。
③「売上債権」:企業が商品やサービスを提供した後、お客様から回収すべき金額が確定している債権。
一定期間の現金売上額と「売上債権」からの回収額は、その回収額に対応する商品やサービスを提供するために、お客様のために支出したすべての「立替金(費用)」に、利益を加算(または損失を減算)した金額に相当します。
この回収額は、再度お客様のための「立替金の支出(費用)」や融資者への借入金の返済に充てられ、企業の資金として循環しています。
POINT 勘定科目:受取手形・売掛金・未収入金など。
④「棚卸資産」:企業が販売目的で保有している商品、製品、原材料などの資産。この「棚卸資産」は、お客様への販売を通じて、他のお客様のため「立替金の支出(費用)」と利益部分を回収するための基礎となります。
POINT 勘定科目:商品・製品・半製品・原材料・貯蔵品など。
⑤「減価資産」:使用や時間の経過によって価値が減少する資産で、減価償却を通じてその価値をお客様から間接的に回収します。
これらの資産の価値減少は「立替金の支出(費用)」として認識しなければなりません。
POINT 勘定科目 前払費用・有形固定資産・無形固定資産・敷金・長期前払費用・繰延資産など。
⑥「非減価資産」:時間の経過によって価値が減少しない資産。
これらの資産を取得するための借入金に対しては、賃貸料の相場を考慮して、お客様からの「立替金の回収(売上)」を行い、借入金の返済資金を確保する必要があります。
返済資金の確保が不要な土地に関しては、その土地に対する返済義務がある他の競合企業や、土地賃料を支払っている企業よりも、お客様からの「立替金の回収(売上)」を少なく抑えることができるという利点があります。
POINT 勘定科目:土地・借地権・出資金・敷金・保証金など。