名古屋へ帰りたかった。英数国理社は5を取った。アサオは名古屋のA高校に行きたかった。養親が恋しかった。父は「お前はもう豊橋の子で、家はKに継がせる。J高校に行きなさい」。アサオは反抗期、「誰がJなんか行くか、定時制でも行くか」。だがアサオはどうしても就職の選択が出来ず。第三の高校H高校を受験した。
一学年660名の内、S中学出身者が110名を占めた。クラス60名のうち10名はS中の出身者だった。S中付属H高校と呼ばれていた。
合格発表の日、アサオは朝遅く迄寝ていた。母親は心配して「合格発表見に行かなくても良いの?」と聞いた。アサオは合格するのは分かっているので寝ていたいので又、寝た。
青き芽生えと入院
H高の女生徒の制服をアサオは気に入っていた。H高の女生徒は才色兼備で、可愛い子が多く居た。入学した当初、担任が今の成績のママなら名古屋大学へも行けると、保証した。でもアサオは名古屋大学には興味はなく、早稲田か慶応に行きたかった。
アサオの関心は勉強より女の子に移っていった。室生犀星の『性に眼覚める頃』やD・H・ロレンスの『チャタレイ夫人の恋人』もこの頃読んだ。
H高一年の時、体育館で生徒会役員選挙の立会演説会が行なわれていた。副会長に立候補した女生徒Yに、アサオは一目ぼれした。女生徒は当選した。編集報道運営委員会担当になったので、アサオは同じ副会長に当選した親友のUに頼んで、自分もその委員会に入れてもらった。
代表者会議で承認され、一緒に生徒会機関紙「我らH高」を創った。副会長に当選した女生徒は陸上部で理想的なプロポーションをしていて、アグネス・ラムに以ていた。だけどYは同じ副会長のOとつき合っていた。
アサオは後期副会長に立候補して当選。編集報道運営委員会を担当した。委員をYに依頼し、校内放送係を命ずる。アサオが中心になり「我らH高」を編集発行した時、ある号で、“ベンチャーズとビートルズ、どちらが好きか”というアンケートを取ったら、僅差でビートルズが好きという結果が出た。
又、ある号では“N響来たる”という記事を書いたら、生徒会担当の教師が、「N響来たる」では“ビートルズ来たる”みたいで“N響と文化祭”に書き換えよ、「遅刻者ベスト10」と書いたら、「ワースト10」だろと学校の検閲ははなはだ厳しい。
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