【イチオシ記事】小学校時代。母親が教育熱心で、塾、書道、絵画を習っていた。しかし当時の私は行くふりをして公園で遊び…

第二章 美しい十代

オール5の小学生時代

その頃、自宅はガソリンスタンドに隣接した丸田町から池下の高級住宅地に転居し、T中学に入学した。池下から錦通りを通って車道の学校迄、自転車で10分掛かった。

小学校時代お山の大将だったアサオも、流石、T中学では中位の成績でワンオブゼムだった。それでも剣道部に入り、夕方迄練習に打ち込んで、その頃野球熱はすっかり冷め、中日球場へはもう行かなくなっていた。

中学時代の憂鬱

中学一年の夏休み、三重県鳥羽の二見浦で水練会が10日間、行なわれた。そこでアサオは5000メートル遠泳を完泳した。そこで皆にカバと呼ばれ、歴史の時間に「氏(ウジ)、姓(カバネ)」と出てくると、皆がいっせいに笑い、それにアサオは耐え難く、仮病を使い学校を欠席するようになる。

両親が心配し、何が有ったのか聞いたので、アサオは本当の事を言い、泳ぐ姿がカバに以ているのでカバというアダ名が付いたと言うと、父は名前など符丁だと言い、母は動物のアダ名など愛嬌が有ってイイじゃない、と言った。

あんなに明るく活発だった少年も暗く内向的になっていった。長期学校を欠席すると、両親は豊橋の親戚の家へアサオを預けた。が、実はそこがアサオの生家だった事が後になってアサオに知れた。

豊橋のS中学に転校したがそこでのアサオはウツウツとして皆になじまず。田原の伯母さんから「お前の両親は豊橋の家人だ」と聞かされる。するとアサオは名鉄で名古屋に戻り、両親に真実を打ち明けられると号泣し、絶望した。「名古屋の家へ帰る」と主張した。すると親達が学校両校・T中学とS中学の先生に相談し、T中学に戻る事になった。

先生がクラスの皆にアサオの事をもうカバと呼ばないようにと、言ってくれたのでようやくこの問題も解決して、ノビノビと中学生活を送れるようになり徐々に成績も向上していった。だが名古屋の両親が本当の両親でないという意識はだんだんアサオの心を蝕んだ。

名古屋の両親に反抗的になり中学2年の10月に完全に豊橋に戻された。だが豊橋の家の両親に懐かず、寺の墓地で名古屋とも豊橋とも縁を切り一人で生きて行こうと決意する。義務教育を終えたら誰の世話にもならず社会で一人立ちしようと思い描く。

そうアサオは決心すると、「偉くなるんだ、絶対世に出るんだ」「出世するんだ、地位を得るんだ、金を握るんだ」とそれ以来お経のようにソレを唱えて生きてきた。

生母はアサオに言った。「朝男ちゃん、財産やお金は使ったり盗られたりしたらなくなる。だけど頭に入れたものは人が盗もうが盗られず、使おうが無くならない」。アサオは勉強した。S中ではすぐクラスで一番になった。