【前回の記事を読む】「彼は運命の相手。私と彼は心も体もぴったり」私を前にしても揺るがない社長令嬢。私は怒りの沸点を越え――

不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~

「ふふ、そう言わされているんですね。可哀想な俊雄さん。私との甘美な時間では、愛情を沢山いただきましたわ」

いくら俊雄さんが私を愛していると言っても、悠希さんはそれを決して認めようとしない。それどころか、自分の方が、と強く出る程だ。

悠希さんをどうしたら説得できるだろう? 

活路が見い出せないまま、時間だけが過ぎていく。

「……亜紀。結婚しよう。僕が結婚して、生涯を共にしたいのは、君だけだ」

突然のプロポーズに、思考が付いて行かずに口をパクパクさせてしまう。俊雄さんは鞄からジュエリーボックスを取り出し、私の前にひざまずいて、そのボックスを開けた。そこには輝く指輪が鎮座していて眩しかった。

「亜紀、一緒に生きよう」

「俊雄さん……」

私が左手を差し出すと、俊雄さんが指輪を薬指にはめようとする。

「いやあぁあああ! そんなの認めないわ! その指輪は私の物ですわ!」

突然悠希さんが叫び、指輪を奪って自分の左手薬指にはめてしまった。

「ほら、ぴったり。ありがとうございます、俊雄さん。そのプロポーズ、お受けいたしますわ。これで式を挙げられますわね。早速明日挙げましょう。ああ、幸せだわ」

うっとりと言う悠希さんに、私は詰め寄り、指輪を奪おうとした。ところが指輪がややきつかったのだろう。指輪が抜けない。

「これは私の物よ! 俊雄さんがプロポーズしたのは私! 悠希さんじゃない!」

「この指輪が婚約の証ですわ。沢村さん、貴女は俊雄さんに選ばれなかったのよ」

「何を言ってるの!? 人の指輪を奪っておいて! いい加減にしなさい!」