教科書じゃなくマンガを持ってくる子もいた。生徒たち(入院中の子供たち)が休んでも、教員の先生方が病室に来ることはなかった。出席できていた子供たちも少なく、私自身も約二年間で数えるほどしか行けなかった。実際に病気で大変な子供たちが学べる環境であったのかは大いに疑問だった。
阪大病院での院内学級は、さらに悲惨だった。体調がよい時でも行きたくないと思わせる杜撰な教育環境だった。病気を持った子供たちが一生懸命頑張って教室に来ているにもかかわらず、教員の先生は雑誌を読んだり競馬新聞を読んだりラジオを聴いたりと、最悪な環境だった。院内学級の教員の先生方は病気を持った子供たちへの知識と理解も低く、教師としての意識もかなり低かったのだと考える。
しかし、当時はそのことが決して問題にはならなかった。なぜなら、きっと子供たちの「病気を治すことだけ」が最優先にされていて、その子供たちへの教育の大切さがあまりにも認識されていなかった。院内学級だけではなく、同じことが地域の学校にも言えた。警察病院から阪大病院に入院するまでの一時退院の時、姉と弟が通っていた小学校の特別学級に私は在籍していた。
特別学級とは学校教育法のもと、教育上特別なサポートが必要な生徒たちの学級のことをいう。私は病状的にクラスには出席できず、時々、担任の教師から姉をとおしてプリントを渡されるだけだった。担任の教師も一度たりとも家に訪ねて来たことはなかった。
次回更新は12月19日(金)、18時の予定です。
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