その度に富子は大声で泣きながら珠輝を連れ帰り、その度に大人たちにめくらの意味を尋ねるのだが答えはなかった。自分が障害児で他の者との違いを知らなかった珠輝は戸惑うばかりだった。

富子と同居するまではいつも彼女は大人の晴眼者と行動していたから、いかに悪ガキでも面と向かって悪口雑言は吐かなかったからだ。また炭鉱の社宅で同じ年頃の子と遊んでもそんなことを言う子などいなかった。

ある日、富子と二人で寝ていたとき、何故か珠輝は富子の顔をそっと触ってみた。すると目を触ってみると中には球が入っていてくるくると動いているではないか。それに気づいた彼女は次の朝早速目の中にビー玉を入れて、

「ほら目ができたやろう、これでめくらじゃないやろ。」

母や祖母に見せても答えは帰って来なかった。それどころか折角入れた目玉は手を放せば落ちてしまうから始末に悪い。そうこうするうちようやく自分は人と違うのではないかということに気がついた。それまでの珠輝は大人になれば何でもできるようになるものと信じていた。

彼女より年上の者は何でもできて当たり前と信じていたのに富子は自分より小さいのに珠輝を紙芝居に連れていくが珠輝は富子をどこにも連れて行けないのだ。これで珠輝の疑問は何とか解決した。

富子とはこんなふうに違うのだから三輪車に一人で乗れないのだ。それで大人たちが何となく彼女に対する物言いと他の子供に対する物言いが違っていたことも納得いくような気がした。

法子伯母にとっては珠輝は厄介者でしかなかったのだろう。それに引き換え若い智子叔母はそんな珠輝をよく可愛がってくれた。我が子と同じように玩具も買ってくれた。当時を思い返せば感謝の気持ちで一杯だ。

次回更新は12月12日(金)、20時の予定です。

 

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