「どうも、高岡南です。一応バイトという事ですが、正社員になる予定です」
「え……会社は?」
思わずそう訊いてしまった。
「辞めました。実はブラックだったので辞める機会を伺っていたんです。どうぞよろしくお願いします!」
よりにもよって南君とは……。
「よろしく頼むよ! 期待してるからね!」
長澤さんとは店員とお客と言う関係だったけど、その頃から仲が良く、仕事をする上でも、良好な関係が築けるだろう。
「亜紀ちゃん、よろしくね!」
「うん、よろしく」
「今夜、長澤さんが歓迎会をしてくれるんだよ。亜紀ちゃんも来てくれるよね?」
「そうだね」
私が行かないと、男二人飲みになってしまう。それはそれで……問題はないように思うけど、歓迎会となれば、話はまた別だ。同じ働くメンバーとしては不参加という選択肢はない。
お店では、南君は仕事の覚えも早く、正社員に見える程だった。
そして閉店後、南君の歓迎会のために、私達は近所の居酒屋に足を向けた。
乾杯をして、長澤さんと南君はどんどん飲み進めていった。私は二人のペースに呑まれる事なく、少しずつ飲み進めていて、なるべく早く席を退きたいと思っていた。
紅一点なんて言えば聞こえは良いけど、やっぱり居辛い。
そんな時、聞き覚えのある声がした。
「――ですわ。こういう場所って賑やかですのね。連れて来て下さってありがとうございます、俊雄さん」
「いえ、社長から頼まれましたから」
悠希さんと、俊雄さん!?
ゆっくりと声の方を振り向くと、二人が席に座っているのが目に入った。視線を直ぐに外す。
社長に頼まれたと言っていた俊雄さんの言葉は本当だろう。きっと悠希さんが父親に頼んだと安易に想像できる。だけど、どうしてこのお店? 俊雄さんの会社から随分と離れているし、私の職場に近い。
「あら、沢村さんじゃありません?」
いつしか私の背後に悠希さんが立っていた。その後ろにバツが悪そうに俊雄さんが佇んでいる。