【前回の記事を読む】殺した側が殺され、爆撃した側が爆撃され、破壊した側が破壊される…2001年秋、米国は自らが知る唯一の方法でテロへの報復を実行した。

本書の主旨

画期的な解決策

幸いにも今、長年の研究活動で一つの代替手段が明らかになっている。それらの研究は、攻撃と報復のサイクルを平和的な方法で終結させることができると実証してきた。その方法とは平和のテクノロジー、言ってみれば電気をつけるようにたやすく平和の灯をつけることができる体系的な手段だ。

しかし、この発見を活かすには旧来の考え方を一新する必要がある。今まで国家防衛は、客観的、物理的な科学に基づいてきた。金属で作られ、化学や電子、原子力の技術を用いた武器についての科学だ。

しかし、このような客観的な手法のみに基づいた防衛は行き詰まっている。攻撃なら幾らでもできるが、自分の身は守れないのだ。

幸い、この新しいテクノロジーはこれまで50回近く実証され、それを裏付ける19本の研究が発表されている。この手法は客観的、物理的な技術の代わりに精神的な意識を用いた方法を採る。そこには、インドのヴェーダの伝統が数千年の間受け継いできた瞑想の技術も含まれている。

ヴェーダの基本概念を解説するには、それだけで一冊の本になってしまうので、ここでは二つの面に分けて手短に説明しよう。

一.原因

ヴェーダの考え方では、あらゆる社会的暴力や戦争には一つの根本原因がある。すなわち、社会的なストレスや緊張、派閥間や国家間、宗教間、さらには競合する文明間での恐れや憎しみだ。こうした社会的なストレスや混乱、すなわち国や世界の集合意識が無秩序であることこそが、凶悪犯罪や戦争、テロを生み出す原因なのだ。

二.解決策

個人レベルでは瞑想でストレスや緊張、憎しみが鎮(しず)まるという研究が数百件あり、医学界では何年も前からその効果が認められている。最近の研究では、周囲の社会に良い効果を与えることを目的に集まった瞑想者の大規模なグループは、同様の鎮静効果をより広い範囲に及ぼすことが明らかにされている。