これまでの研究では、研究例の豊富な超越瞑想〔訳注:Transcendental Meditation,TM〕の実践者が集まって瞑想すると、周囲の社会の集合意識にあるストレスや緊張、敵対心が鎮まることが、犯罪や戦闘活動、テロの減少を通して繰り返し観察されている。
この科学的根拠が示しているのは、いわば平和のテクノロジーが「ワイヤレス」であり、ラジオや携帯電話のように、目に見えない場(フィールド)を通してコヒーレンス[同調、調和]の影響力を広範囲に放っているということだ。
この精神的テクノロジーは放送局の代わりに、世界に存在する最も複雑な装置である人間の脳を使う。ちょうど、ラジオ局が電磁場を通して音楽を全方位に発信するのと同じく、一箇所に集まって瞑想する瞑想者たちの脳が、目に見えない「意識の場」を通して調和と安寧(あんねい)を放っていると研究は示唆している。
科学的根拠
このような革新的な理論には当然、科学的根拠が必要だ。これに関しては第二章で見るように豊富な研究がある。繰り返し実施された研究では、瞑想者たちが一箇所に集まって大規模なグループ瞑想を行うと、いつも次の結果が表れる。
・集会の参加者が増えるに従って
・凶悪犯罪、戦争、テロがすべて減少する
こうした集会の参加者数が増減すると、暴力に関する統計値は強い逆相関関係で変化する。特に注目すべきはランド研究所の統計に基づく研究で、欧米で開催された超越瞑想の集会で過去最大規模となった三つの集会(参加者はそれぞれ7000人前後)の開催期間中、テロが全世界で72%減少したことを実証した(二章参照)。
「これは刺激的な研究だ」と言うのは国際関係学者、ヴェイド・ナンダ教授(デンバー大学国際法研究プログラム・ディレクター)だ。彼は「従来にない着想だが、単純明快な科学的根拠がこの理論の信頼性を保証していると思う」と語る。