【前回の記事を読む】授業中、こっそり変顔して優等生を笑わせてた。真面目な空気の中でこらえる笑いが楽しかった
⑤妙子、高校生になる
《友達》
私は手先が器用ということもあり、自分の眉毛は自分で整えるのはもちろんのこと、学校での休み時間に杏の眉毛を整えていました。
学校祭になると、自分の髪と杏と愛香の二人の髪の毛を結ってあげていました。
《勉強》
私にとって杏と愛香との出会いは大きな転機になりました。1年生の前期のテストで二人は優秀な成績をとったので、私も良い成績をとりたくなり勉強に目覚めました。負けず嫌いだったので二人よりいい成績が取りたいと強く感じました。
私の学年は学級崩壊に近いものがあり、黒板から遠くの席になると先生の声がクラスメイトの私語でかき消されてしまっていました。席替えになると、前列の2列は座りたい人が優先されていました。ですので、いつも私は杏と隣同士で前列の2列のどこかを希望して座っていました。
私は数学が得意でした。公式もすぐに頭に入ってきて、授業で先生から数学の公式の説明を受ければ大抵は1回で理解できました。その場の理解力はあった方かと思います。杏や愛香がなかなか公式の解き方を理解できない時がある場合、私が二人に教えると大抵は1度で理解してもらえました。
しかし、テストになると私は得意な数学ですら二人より良い点数が取れませんでした。問題点は小学生ではできていたかけ算の6の段から9の段がうろ覚えになってしまっていたことでした。
テスト中に公式を解いていく時、いちいち高速で足し算をし、焦りながら計算をしていたので“2×3=5”などという単純ミスが多く担任の先生にいつも「妙子は毎回ちょいミスが多いよな」と言われていました。計算に時間がかかるので時間切れで最後の問題までたどり着けない時もありました。
苦手な科目は社会科でした。活字を読むことが苦手だったので先生が蛍光ペンで印をつけてほしい所を口頭で指示した際、その文章を見つけるのに時間がかかりました。いつも杏の教科書を見ながら印をつけていました。
また、社会科はノートに書き込む作業が多く、私は黒板の文字をノートに書き写すことに皆より時間がかかりました。なぜなら、黒板の文章を読んでも記憶に残らず、結局1度に記憶できるのは単語だけでした。
周りの皆よりも、視線が黒板とノートの間の行き来が多く頭がフラフラしていました。授業内にノートに書き写すことができないことが多く、休み時間に杏のノートを見せてもらい自分のノートに書き写していました。
高校入試の受験勉強さえしなかった私は、テスト前に勉強をするようになりました。テストでは自分の最善を尽くしていました。すると、2クラスある学年で2年生では前期、後期ともに5位を取るようになり、3年生では前期、後期ともに4位を取ることができましたが、杏と愛香よりいい点が取れなかったので不満でした。