はじめに

はじめまして。私の名前はペンネームで「瑚波瑠」と申します。私は、29歳の時に病院で“注意欠如・多動性障害、不注意優勢型の特徴を比較的強く持ち、広汎性発達障害(非典型的:特定不能群)の特徴も伴っている”と診断されました。

当時は“発達障害の濃いグレーゾーン”であると言われました。現在では、特定不能の広汎性発達障害は自閉症スペクトラム障害と言われています。

大人になるまで、自分がADHD(注意欠如多動性障害)のADD(不注意優勢型)のグレーゾーンであること、そして、ASD(自閉症スペクトラム障害)という発達障害を持っていることに、周囲の大人たちや自分でさえ気付かずにいました。

私は、脳の機能障害と一生共存していかなければならないという問題を抱えて生きています。そして、その問題を抱えた生活に疲れ果てた結果、統合失調症を患いました。ある病院では強迫性障害と診断されたこともありました。

私は長い間、苦しさから逃げ出したくて生きることをやめたいという思いでいっぱいでした。

この文章を書くということは、自分自身の心の傷をえぐることでもあり最初は辛い時間でした。

ただ同じような境遇で生活に困難を抱えている方とそのご家族、周囲の方々にメッセージを送りたいという思いと、この本を読んでくださることで発達障害についての知識が深まり、より身近に感じていただける機会になれば幸いだという強い思いでペンをとりました。

また、自己肯定感(自分はこのままでいいのだという漠然とした気持ち)を失い真っ暗闇の中で、ただひたすら耐えしのいで生きている方へ私の経験を通して伝えたいことがあります。

私の場合、一人で辛いことを抱え込んでいると、闇はより一層深くなるばかりでした。二次障害(発達障害は生れつきの傾向で、そのストレスでさまざまな心の病気を発症してしまうこと)で、うつ病や不安障害などになってしまった方にもメッセージを届けたいです。

二次障害は内に向かえばうつ病や不安障害や引きこもり、外へ向かえば非行や周囲への反抗、暴言、暴力につながると言われています。

私にとって家族や友達、お世話になっている方々に発達障害グレーゾーンである真実を伝えることは、初めは勇気のいることでした。けれども、今では周囲に“知られる恐怖”から“知ってもらえている安心感”に変わりました。

決して障害を都合のいい切り札にするつもりはありません。障害を持っていても何もかもが許される訳ではなく、間違いを起こしたり誰かに迷惑をかけたりした場合は素直に謝らなければなりません。