【前回の記事を読む】【四国お遍路1日目】やっぱり迷子! でも“おせったい”で救われて無事に歩き出せた

第1章 発心の道場――徳島県[阿波の国]

2日目 長距離歩くことに慣れていない(3月14日)

今日からは、本格的に長い距離を歩きます。7番札所十楽寺(じゅうらくじ)から11番札所藤井寺(ふじいでら)までの5霊場を巡拝します。

お天気で風もなく、歩きお遍路日和です。7番札所光明山蓮華院十楽寺は、のどかな田園風景の中に、色鮮やかな朱塗りの竜宮門を構えています。8番札所普明山真光院熊谷寺(くまだにじ)までは、朝日を背中に浴びながら歩き、畑の畔道には菜の花が咲いていました。

桜並木の参道を進むと、四国霊場で最大級と言われる二層づくりの威風堂々とした仁王門に迎えられました。9番札所正覚山菩提院法輪寺(ほうりんじ)へは、一面畑の遍路道です。ご本尊は涅槃釈迦如来像で、涅槃のお姿が本尊なのは四国八十八ヶ寺の中で唯一です。

10番札所得度山灌頂院切幡寺(きりはたじ)は、切幡山の中腹(標高155m)にある深い緑に包まれた山寺です。333段の石段を上がると、右手にハサミ、左手に長い布を持った「はたきり観音」像が目に入ってきます。

はたきり観音像

こんなお話が伝わっています。弘法大師が「布を分けて欲しい」と求めると、娘は惜しげもなく切り裂いて差し出し、「自分も仏門に入り精進したい」と語る娘に、千手観音を刻み得度させ灌頂を授けると、娘は即身成仏して千手観音の姿になった。

上手くできたお話だと思いつつも、木々が覆い茂る中に凜とした姿を見ると、「あったかも」と思ってしまいました。

藤井寺までは、切幡山中腹から緩やかに下ります。街中に入り、進む方向が分からずキョロキョロしていると、軽トラが止まり「藤井寺に行くの?」と声を掛けてくれました。「潜水橋を渡りたいのです」と、応えると、車を降りて来て指さしながら教えてくれました。お礼に納め札を渡すと「俺と同年だね! 仙台から来たの、遠くからありがとう」と。なんていい人に出会えたのだろう。

11番札所金剛山一乗院藤井寺には、名前の由来にもなっている弘法大師お手植えと伝わる五色の藤があります。藤はほのかな芳香を漂わせる、気持ちを落ち着かせる働きや微量元素を吸い上げ胃がんに効くと言われ、人々の癒やしや薬用としても重宝されています。弘法大師はなぜ「藤」を選んだのか、薬用植物としての効能を知っていたのか等々興味は尽きません。

宿に着くと疲れがドッと襲ってきました。まだ、長い距離を歩くのに身体が慣れていません。ザックを背負ったまま仰向けになり、大きなため息です。やれやれ、これから先どうなることやら。

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