ナンシン共和国の学校
けんかと、女子と男子のこと

おじさんのいう“素朴”の意味……。なんとなくわかったことがある。

大人の都合のように感じる“本音”も“建前”も、僕の学校では、気にしなくてもいいみたい。

今まで通りの、ナンシン共和国の学校であることがわかり、とても安心した……。

§

3年生のクラスは、とびぬけて楽しい。みんな仲がいい。みんな明るい。

「自由は俺のもんだ!」。

「いやいや、俺の自由のほうがかっこいい!」と、自由の競い合いをして、いつもけんかになっている。

そのあとの仲直りの仕方が、とてもかっこいいんだぜ。「おお、おまえは、そういう自由なのか!」。

「おれのも絶対負けないけれど、お前のも面白いな……その自由、おれにくれ!」。

けんかに飽きたら、ちゃんと振り返り、相手のいいところを探し出す。

だから、けんかは友情を深めるために必要なもの……という雰囲気がある。

ただ、女子は男子のけんかを見るとあきれ返っている。

「仲を深めるためのけんかだって?? ばかみたい。私たちは初めっから仲良くするわ」。 

これでまた、男の子たちといい合いになった時期があったけれど、今はそのことを乗り越えて、けんかのことは、お互い干渉しないようにしている。

お互いといっても、いつもけんかをしているのは。男の子だから、ただ相手にされないだけ……。 一番困るのは、仲良くなるためにけんかをしているのに、仲裁に入る大人たち。あの勘違いを何とかしてほしい。

けんかはけんかであるけれど、僕たちのけんかはけんかではない。

よく知り合って、仲良くなるためのけんか。それが3年生の男の子たちの“りっぱな学校生活”として認めてほしい……と願う。

仲裁が仲裁とならないので、いつももやもやしてしまう。自分たちで何とかするから見ていてほしい。

とても先生には、通じないけれどね。

 

👉『本音と建前の王国』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】夫の不倫現場に遭遇し、別れを切り出した夜…。「やめて!」 夫は人が変わったように無理やりキスをし、パジャマを脱がしてきて…

【注目記事】認知症の母を助けようと下敷きに…お腹の子の上に膝をつき、全体重をかけられた。激痛、足の間からは液体が流れ、赤ちゃんは…