④特別代理人を選任する必要がある場合
未成年者の法定代理人が遺産分割協議をする場合、注意しなければならないことがあります。未成年者の法定代理人は通常その親ですが、例えば未成年者の父が死亡したことにより開始する相続では、未成年者とその母が同順位の相続人となります。
この場合、母が相続放棄をしない限り、母と未成年者の利益が相反することがありますので、母が未成年者の法定代理人として分割協議をすることはできません。これは成年後見人の場合でも同様の問題になります。
また、父が死亡した際、未成年者が2人いて、母が相続放棄をした場合には、2人の未成年者を母が1人で代理することはできません。法定代理人としての行為が、2人の未成年者の間で利益衝突してしまうからです。
これらの場合には、未成年者のために、特別代理人を選任しなければなりません。特別代理人の選任のためには、まず、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てます。
申し立てることができるのは、未成年者の親権者や後見人、利害関係人です。例えば、特別代理人として祖父を選任して欲しいといった内容での申立も可能ですので、特別代理人を入れた場合であっても、親族内で協議を進めることが可能です。
⑤連絡の取れない相続人がいる場合
ア まずは、相続人の住所地を調査しましょう。
通常、人は住民票のある場所に住んでいるので現在住民票が置かれている場所を確認できれば、連絡を取れる可能性があります。住所地は、その人の「戸籍附票」を見たら分かります。
今の本籍地が分かるのであれば、本籍地の役所にその人の戸籍附票を申請して取得すると、住民票上の住所が書いてあります。イただし、戸籍附票は他人には取得できません。
相手が独立して戸籍を作っている場合、戸籍附票を取ろうと思っても役所は発行してくれません。
相手が未婚などで、まだ被相続人を筆頭者とする戸籍の中に入っている場合や、相手が兄弟などで自分と同じ戸籍に入っている場合には、被相続人や自分の戸籍の附票をまとめて取得することにより相手の住所地を確認できます。
相手の住所が分かったら、手紙で連絡を入れてみましょう。相手からの返答があれば、そのまま相続手続を進められます。