【前回の記事を読む】「私も大きくなったら空を飛ぶことが出来ますか」かばさんの子どもにそう問われ、校長先生のふくろうさんが出した答えは…
第1章 森の動物たち
小リスのぴょんちゃん
皆は楽しくてたまりません。生まれてきた幸せをかみしめないわけにはいきません。目的地に着くとお花が沢山咲いていました。蝶々もいっぱい舞っています。そこで皆は思いきり遊びました。思いきり遊んだ後は、いよいよお昼のお弁当です。
お弁当は初め先生のところに全部集められました。そして先生から配られます。自分の持ってきたお弁当を自分が食べるわけではありません。自分のお弁当を食べているのは誰かな。それからこのおいしいお弁当を持ってきたのは誰なのだろう。そう考えながら食べるのです。
お弁当が終わるとお昼寝です。風がそよそよ吹いてなんて気持ちよいのでしょう。そしてお昼寝から覚めると皆は次の目的地に向かって出発です。
でも次の目的地に向かって歩いていたら、晴れわたっていた空に雲がかかり、雨がポツリポツリと降ってきました。皆は草むらに駆け込んで雨宿りです。雨は小一時間ほど降り続けて止みました。
雨宿りしてしまったので、次の目的地に行くかどうか先生たちが相談していたら、小鳥さんが息を切らしてやって来て危険を知らせてくれました。帰り道に何匹かのキツネが待ち伏せしているというのです。
さぁ、大変。先生たちの顔に緊張が走りました。どうしたらよいのでしょう。先生たちは熊おじさんに至急知らせてここに来てくれるように小鳥さんに頼みました。小鳥さんはアタフタと飛んで行きましたが、そんなに簡単に熊おじさんが見つかるのでしょうか。
熊おじさんは小鳥さんが飛び立ってからしばらくして来てくれました。あらかじめ今日の遠足のことを聞かされていたので、家の近くにいてくれたのです。もう大丈夫です。皆は熊おじさんの肩や背中に乗って大喜び。皆は熊おじさんがこんなにも頼もしく思えたことはありません。
帰り道、キツネがひそんでいる道端を熊おじさんと一緒に通るとき、キツネの息づかいが聞こえるようで、皆はちょっぴり恐ろしい思いをしました。でも熊おじさんと一緒なのでキツネも手が出せません。
もうここまで来れば大丈夫だろうというところまで来て、皆は熊おじさんの背中から降りたり離れたりしました。
「ありがとう、熊おじさん」
と皆は手を振って熊おじさんと別れを惜しみます。熊おじさんも手を振って答えてくれました。
それから皆は、ヨーイ、ドン!でお家に向かって走りました。怖かったけど皆が無事に帰って来られた卒業旅行でした。
その夜ぴょんちゃんは、自分の寝床の中で、今日の楽しい遠足の夢を見ました。
花の咲く野原で大きな蝶に乗り、ぴょんちゃんは空を飛んでいました。