戦争中 不幸にして生起せる事件に関し、吾れ 司令官として責任を負い、異郷 シンガポールに於いて 国難に殉じ潔く玉砕す。
悲しむこと勿れ。唯 戦犯の判決を受け 犠牲となりし部下将兵に対し申し訳なく断腸の思い切なるものあると共に 祖国の再建を深く祈念するのみ
この事実を知って、私は愕然とした。おぼろげながら、幼いころに周おばあちゃんから鼎三おじいちゃんの話を聞いていたが、本書を纏める中で、あらためてその死を思いめぐらすことができた。
かつて『戦争を知らない子供たち』という歌が流行ったが、戦争の悲惨さをこの歳まで知ろうとしなかった自分が恥ずかしくなった。
「戦争」という時代に生き、その歴史の中で翻弄される人生を送ったおふくろ。しかし戦争がなければ、私はこの世に存在しなかった。
この宇宙も偶然に百三十八億年前に生まれ、四十六億年前に宇宙の塵が集まって、太陽系の一つの惑星として地球が誕生し、知的生命が誕生した。その偶然の連鎖がつながり、今、私がここにいる。
偶然の集積が今の世の中をつくっていて、人類の歴史の中のほんの 30 一瞬を生きている。どんな環境の中にあっても果敢に生きた、祖父母や両親に対する尊敬の念がますます大きくなった。