【前回の記事を読む】あと1時間遅ければ命は危なかった――救急搬送と緊急手術で判明したのはスキルス胃がんだった
第1章 突然の発症、そして緊急手術
入院(ICU・HCU・一般病棟)
【ICU(集中治療室)】
ICUは薄暗い部屋で、私も含めて4人ぐらいがリクライニング式のベッドに、身動きもとれず張り付いています。
私の身体には、いろんな管が取り付けられています。鼻には酸素吸入の管、右手には点滴用の管(点滴は常におこなっているので、針は静脈に埋め込んだまま)、お腹にはドレーンと呼ばれる体内に溜まった水分・血液・リンパ液、膿瘍などを体外に排出するための管が4本縫い付けられ、管の先には排出液を溜めるボンボンみたいな容器が付いています。
また、尿管には排出用の管、胸には心拍数・心電図・血圧・体温などを測定するための電極が貼られています。管だらけで身動きがとれません。この4本のドレーンだけは、一般病棟に移ってもしばらくは取れませんでした。
頭は朦朧としているのですが、全身麻酔が切れて傷口がすごく痛むのです。痛くなったらボタンを押して、自分で鎮痛薬を血管から注入するようになっていましたが、この鎮痛薬が効きません。またまた、痛みとの闘いです。
朦朧としていますので悪夢を見ているような、幻覚を見ているような、別の部屋のガラス越しから監視されているような、人体実験をされているような不思議な感覚です。眠れませんので、いろいろと考えます。
ちょうど送り盆でしたので、先祖の誰かが私を一緒に連れて行こうとしたが、先祖の誰かがまだ早いと送り返したのかな……と考えたり、このまま別の世界に行っても、よいかなーと思いました。
痛みに耐えながら、ぜんぜん眠れずに一晩を過ごします。とにかくICUでは、安静にして痛みに耐え、身動きもできず、ひたすらベッドに張り付いているのです。そんな状態でICUに3日間もいました。