【前回の記事を読む】柿栽培を始めて5年目で岐阜県主催・柿のコンテストで「県知事賞」を受賞。不思議で複雑な思いがした…

第一章「柿」栽培への新たな挑戦

1 柿栽培の開始

ガンの手術で一時中断

平成六年、四十五才の時、体調が悪く病院でみてもらったところ、ガンだった。さっそく手術を受け、療養のため、柿栽培から離れることとなった。一方、どういうわけか幸運なことに、父親が元気を取りもどし、バトンタッチができたのだ。

父は、十年ぶりに柿に触れるので喜んでいたようだ。しかし、元来雑な父親は、カイガラムシの蔓延を許し、三~四年後には全滅し、柿の出荷ができなくなってしまったのだ。出荷先から拒否されたからだ。仕方がないので全部切って落とした。今までに経験したことのない悪夢だった。

後でわかったのだが、カイガラムシの異常な増加は、親の怠慢によるものではなく、リサージャンス(復活)といって、合成ピレスロイド剤を使ったためカイガラムシの天敵まで殺してしまったため、天敵のいなくなったカイガラムシが増加したものとわかった。

そんな中、私のガンは転移することもなく順調に回復し、五十才にして再度、柿栽培に挑戦することになったのだ。しかし、やり残した問題の解決策は思い浮かばないし、カイガラムシ対策まで加わって柿栽培を始めて最も困難な時を過ごすことになってしまったのである。