【前回の記事を読む】アマゾンからアンデス山脈にわたる地底にあるという第二世界、小人ワールド。私と信長公は周りの様子をうかがいながら…

第三幕  世界の果てまで 

「ええ、ありますよ。私のお気に入りの場所でもいいですか?」

そう小人が答えると、持っていた笛を鳴らし、歩き出した。すると、その笛の音に呼応するかのようにさまざまな音が響きわたり、ふたりはその小人の後を歩いていく。

結迦は記憶の彼方で、ある懐かしさのような感覚を感じていた。しばらくすると、大きな四つ足の動物が現れ、三人でその背中に乗り、先へと進むことになった。

王者の貫禄を漂わせているその動物は、ゾウとライオンが入り混じっているような外見だったが、とても穏やかでやさしい波動を放っていて、結迦は怖がる様子もなく、背中で心地よく揺られていた。 

その後、どんな場所を案内されたのか、結迦は思い出すことができないでいた。目を開けると、現実世界の日常に戻されていたのである。

「あれ、信長さまはどこに? なんだ、夢だったのかあ。この探検の続きをまたいつか、体験できたら面白そうだな」

のんきな結迦は、なんとなく思った。「どうせなら、七つのパワースポット、全部巡ってみたいかも。それも信長さまが先に、下見をしてきてくださるとかだったら……」そんな都合のよい、いささか図々しすぎることを考えながら、結迦は再び目を閉じた。

日中のふとした瞬間、「信長さまともっといろんな場所へ行ってみたいなあ」結迦の妄想は、果てしなく続いていたようである。

また、電車に乗ったとき、窓の外に見える景色の中に、【織田】という看板文字を目にしただけで、「あっ、信長さまが近くにいるの?」こんな風に意味づけしてしまう。

そんな結迦のことを、信長公はどう思われたであろうか。  

 

あるとき結迦は、海外にある海底遺跡のあるポイントを潜ることになった。初めての場所で複数のダイバーでの仕事となり、緊張と期待とが入り混じった久しぶりの海外出張であった。専用にチャーターされた船は、大海原の美しい風景の中に浮かんでいた。

数日間を海上で過ごすスケジュールのため、出港前には同行仲間との入念な情報共有の時間もあった。