【前回の記事を読む】給料が安いヘルパーの仕事。小言を言われ思わず「そんなに満足いただけないようでしたら、全部自分でやったらいかがですか」
十 専業主婦に恩典を与えるべし
M そりゃアッパレだ。その通りだし、任せた以上はその方を信頼するしかないよなー。だから本当は、幼子の面倒やお年寄りの介護については、母親や女性の家族においてやるのが最良だし、幼子もお年寄りにあってもそれを一番望んでいると思うが、今の世の中ではこの考えが全く無視されているもんなー。そう思わんかねー。
W あらあら!! この現代においてだね、そんなことを平然と言ったなら、それを聞いた多くの人たちからは「何を寝ぼけたことを言っているんだい。時代錯誤もはなはだしい考えで、今や時代が大きく変わっていることも知らんアホかいなー」と一口で言われるだけよ。
M そりゃどうも悪うございましたね。だから、先ほど世間様にお許しを請うたわけだ。しかしね、この考えはおいらの断固とした決意表明でもあるから、別にいいだろう。
W そんならいいけどね。それにしても、働き盛りのご婦人が家にいて子育てやお年寄りの面倒を見ていたんでは、生活が苦しくなってきて立ち行かなくなっているのが、今の世相ではないのかね。そのため、どこの夫婦も共働きによって苦しい生活を少しでも解消しようと頑張っていると思うけどねー。
でもそれを辞めて、ご婦人が子育てやお年寄りの面倒などを含め家庭のあらゆることを専業としてやってもらうとなれば夫の給料だけの生活ではなく、専業主婦としてのご婦人に対しても、それなりの経済支援が絶対必要になると思われるが、それについてはどうなるのか教えてよ。
M そりゃもちろんのことで、避けて通れないとても重要な点だと認識してるよ。しかも相当のお金を支払うことになるだろうとも思うよ。何ぶんにも、未婚・既婚問わず今の女性たちは、子育てやお年寄りを世話することについて、家庭での仕事のなかでも特に大変であることを世間から聞かされているにも拘わらず、自分にできる精一杯のことを成し遂げているだろうと思うよ。
しかし、それ以上に人間の〝性(さが)〟として、自分のやりたいことやその能力を試したくなるのが当然であり、その実現のために格好良く社会に出ていくんだろうなー。
W それは当然のことであり、ある意味仕方ないんじゃないの。社会に出ることで、その他にも家庭でのストレスを発散させたり、多少なりの収入にもなるでしょうからね。それだけに、社会に出て働くよりも家事全般の仕事に従事する人の方が、経済面で圧倒的に優位になるという状況を作り出すことが求められると思いますがね。どうでしょうか。