【前回の記事を読む】便利化の裏には危険が潜んでいる?――核家族化が招く現代の問題

八 核家族化がもたらしたもの

W ただね、子どもが親に対して持っている強いイメージとして、親はいつまでも元気でキリっとした態度でいるもんだという一方で、年々歳老いてヨボヨボしていく親の姿は見るに堪えないとの相反した複雑な気持ちから、あえて親との距離を取っているとも考えられるわねー。

M そうか、そういう考え方もあるのかなー。要は、親の弱った姿を四六時中見ているのが嫌だということかいな。

W 多分、そうかもしれないし、子どもからしてみれば、親はいつまでも元気なものと思い込んでいる様子が、世間でよく見受けられるからね。

M そうは言っても、子どもの大半は先ほどおいらが言った“感謝”の気持ちが薄くて、身勝手な行動にあるんではないのかなー。

およそ、人間誰しもが高齢になればなるほど、精神年齢が子どもと同等になると言われているだけに、今まで子ども全員を面倒見てこられたことに対し今度はその恩返しとして、子どもと同等の精神年齢にある両親の面倒を、その子どもたちによって見ていくのが当然ではないのかなー。

でも、現実はそうなっていないことが多いことから、親の苦労に対するありがたみや感謝の気持ちが薄いと言っているわけよ。

W 確かに、親のありがたみなんてさらさら感じていない状況にあることは間違いないわよー。だから、あんたが言う親子の間での“道徳感”とか“倫理観”がなくなってしまった、と言えるわね。そもそも、独立しなくて親と同居していれば、ローン返済で苦しむこともないし、お金だってそれほどかかるとは思えないけどねー。

例えばだね、二世帯で住むには家が狭過ぎるということであれば、建替えやリフォームによって部屋数を増やす方法を取れば、土地付き一戸建や最寄り駅近くのマンションを買うよりは安くつくんじゃないのかね。また、親と同居するとなれば、建替えやリフォームするときには、費用の一部を援助してくれるかもしれないしね。

M な!! そう思うだろう。でも、そうは簡単にいかない世の中の状況でもあるんだよ。

W それって、どういうこと……。