【前回の記事を読む】夫が帰ってくると化粧品の匂いがした。目を合わさないし、何か変。同窓会で何かあったんだ。「私に隠し事があるね」と言うと…
第五章 これからも二人で
「ええ、離婚したけど、素敵な人と再婚したのよ」
「そうか、遅かったな。僕も、立候補したかった」
「ええー、何それ」と笑った。
「本気だよ。高校の時も振られ、大学の時には、彼氏と一緒の所を見て失恋し、大人になっても振られたな。三度目の正直かな」
「冗談は止めて。ウフフフフ。主人が迎えに来ているの。じゃ、またね」と言いつつ、少し、ドキドキした。悪い事はしてないけど、丈哉さんに後ろめたい気持ち。丈哉さんも、こんな感じだったのかな~。
ロビーに下りて、電話を掛けようとしたら、
「香子、ここだよ」と丈哉さんが居た。
「居たんだ。ありがとう」と腕を両手で掴んだ。
手を繋いで、地下の駐車場へ。車に乗った。
「あのね、会場を出たら、高校三年生の時に告白された人に、声かけられたの。
『離婚したって聞いたけど、今どうしているの』と言われたの。再婚したよって答えたら『遅かったか~。君との再会を楽しみにしていていた。三回目、振られたな。立候補したかった』と言っていたの。
冗談でしょうと言いつつ、少し、ドキドキしちゃった。もう、同窓会は行かない事に決めたの。何かさぁ、悪い事をしたわけじゃないけど、丈哉さんに後ろめたいし、嫌な気持ちなの」と、そしたら、
「僕も同じ気持ちだった。少し違うけど……同窓会は、もう行きたくない。香子に言っていない事が、二つあるんだ。後ろめたくて、嫌だから言うね。