【前回の記事を読む】突然キスをされた。不覚にも目を閉じてしまったが、ハッとして彼女を放した。私には再婚した妻がいるのに…
第五章 これからも二人で
「お帰りなさい。早かったのね」と近づいたら、化粧品の匂いがした。
「うん。何?」と丈哉さんを見たら、目を合わさないし、何か変。
「楽しかった?」
「う、うん。久しぶりの友人達と会えた」
あれ、何か変だし、私を見ない。
明らかに、変だ。
「ねぇ、何かあった?」と聞いたら、
「どうして?」と私を見ない。
「私に、隠し事があるね」と言ったら、水をこぼしそうになる。
「あなたが嘘をついた時は、分かるの」と言うと下を向いている。変だ!
「同窓会で、何かあったんだね。浮気?」
丈哉さん、慌てている。
「浮気なんてしないよ。絶対に。君を裏切らない!」
「じゃ、何!」
丈哉さん、ゆっくり話し始めた。
三年間片思いして振られた人に、実は僕の事を好きだったと言われて、突然キスされた事。今日、抱いてほしいと言われた事、やり直せないかって言われた事。
「あなたは、どうしたの。どうしたかったの」と問い詰めた。
「僕には、愛する妻がいる。妻がいなければ、生きていけないと話した。席を立った」
「後悔したの?」
「はぁ~ん、何を言っている! 君しか愛せないんだ」
「でも、あなたの顔、後悔したと書いてあったよ」
「嫌だ! 嫌だ! 何で、こんな事で言い争わないといけないんだ! 同窓会なんて、行かなければ良かった。君が怒るのが怖かったんだ!」
キスをしようとしている。避けた。丈哉さん、ビックリしている。
「彼女にキスされた後に、嫌よ!」と言ったら、
「お風呂で綺麗にしてくる!」
お風呂場に走っていった。嫌だけど、セーフかな。許してあげよう。