【前回の記事を読む】「私と離婚したいの…?」今日で三回目。夫のワイシャツに口紅、香水の匂い、ポケットからイヤリングが…
第四章 不運が招いた縁
「営業って、しっかりしないと苦しんでしまうんだ。これから月一で一時間、営業方法について勉強会を計画したい。営業が華やいでいると、会社全体が活気づくんだ。相手を説得するのと、納得させるのとは大きな違いがある。営業の楽しさを教えたい」
「ええ、お願いします。監査役が話すと納得するでしょう。お願いします」
「ただいま」
「おかえりなさい」
「今日、幸也の前で電話して取引中止した。ミサイヤは可哀そうだ。イメージが悪くなる。でも仕方ない。僕の妻に嫌な思いをさせたからな」
「でも、嬉しい。信用はしているけど、三回も繰り返すと不安になったのよ」と甘えて抱きついた。
「ごめんよ。全然、気が付かなかったよ。岸君は少し変だなと思ったらしいんだけど、僕が何も言わないから、考えすぎと思ったらしい。悪い奴は成敗するよ。僕は君にしか、勃起しないんだ」
「嫌ね~。分かるけど、ウフフフフ」
僕はズッコケる。相変わらずの天然だ。
あっという間に、ジョー君、中学生。
最近は反抗期で、会いに行っても素っ気ない。
ただ、おはぎを見せると、部屋から出てくる。
「ジョー、元気か? 英語はどうだ」
「大丈夫」とだけ。
「僕達は来ない方がいいのかい?」
ジョー君、焦って、
「ダメだ。来て! 話さなくても、顔を見るだけでいいから。丈パパ。絶対だからね」と可愛い。おはぎを四個も抱えて、部屋に行った。
思春期の男の子は、難しいな。
丈哉さん、
「僕もそうだったのかな。覚えてないな」と笑っている。