【前回の記事を読む】「中の人はどうせミソジニー中年男」…『女性の皆さん!』と呼びかけた投稿が大炎上。中の人から滲み出てしまった、女性軽視感とは?
訳アリな私でも、愛してくれますか
「どこが悪かったか、きちんとリプとか見ながらもう一度確認して。もしかしたら、コンプラ部にも一緒に入ってもらったほうがいいかもね」
「わかりました。すぐコンプラ部に行ってきます」
「はい。よろしくね」
岩下はそのままオフィスを出ていった。コンプラ部は違う階にある。
その背中を見送って自分のデスクに戻ると、礼はすっかりスマホを見てくつろいでいる様子だった。
「あのさ、吉川君。私、手が空いたら何するか伝えたよね……?」
「全部終わりました」
「え? うちの部門の資料とか見て改善点を出してほしいって言ったんだけど……」
「はい。メールで水瀬さんに送ってあります」
「えっ、ウソ、早すぎじゃない!?」
「入社前に配属先のこと聞いたら、だいたいのことは教えてもらえたんで。ここ来る前に調べてきました。あと、さっきの炎上の話も聞こえたんで」
礼からのメールを確認すると、SNS運用に関する問題点がいくつか、他にもプロモーション施策のいくつかに触れて改善点が書かれていた。
「……ありがとう、ちょっと確認するね」
「あの、水瀬さん」
「ん?」
「SNSの運用、俺にやらせてくれませんか?」
「えっ……」
礼は千春にスマホの画面を見せた。それは炎上中の投稿内容。
「俺ならこんな失敗は起こしません」
「いや、さすがにそれはちょっと……」
(生意気だなこの子……。最近の子は結構仕事に消極的だって聞いてたけど……)
千春はなんと言えば礼を納得させられるだろうと考えを巡らせる。