調査を行い、ペルソナを設定する際に検討すべき事柄をいくつか挙げる。
・ 役割と目標:
◦ 顧客とは誰か。通常組織から製品やサービスを購入する意思決定者、インフルエンサー、ステークホルダーは誰か(つまり、顧客の購買委員会や、製品・サービスの購買プロセスに関与しているのは誰か)。
◦ 顧客の役割、職務、責任は何か。
ソリューションや解決すべき問題に関してCOIN - OPを使おう。COIN - OPとは私が考案した頭字語で、顧客にとって最も重要な課題(Challenge)、機会(Opportunity)、影響(Impact)、ニーズ(Need)、目標(Objective)、優先順位(Priority)を表している。
・ C/O:顧客はどのような課題に直面しているか。または、どのような機会を収益化しようとしているか。
・ I:現状どのようなリスクと影響があるか。課題に対処できなかった場合、または機会を収益化できなかった場合に何が起きるか。
・ N:右記の評価に基づく顧客のニーズとウォンツは何か(解決可能な問題に関連して)。
・ O/P:COINをもとに顧客が設定した(または設定する必要がある)成果は何か。また、顧客はどのようにニーズや望ましい成果の優先順位を付けているか。それらを達成した場合、顧客にはどのようなメリットがあるか。
その他に含めることができる要因は次のとおりだ。
・ 指標:どのような測定が可能か。どのような指標が顧客にとって最も重要か。顧客は自身の役割における成功をどのように定義しているか。
・ 予算:顧客の通常の予算、管理範囲、購入権限はどのようなものか。
・ 購買プロセス:一般的な顧客のジャーニーはどのようなものか。その過程で社内の誰とやりとりするか。最も一般的な意思決定基準は何か。顧客はどのように意思決定を下すか。
・ 企業:顧客は一般的にどのような規模の企業または業界で勤務しているか(ここでは、理解というよりターゲット設定に有益なICP(理想の顧客特性)情報を使用する)。
・ その他の圧力:顧客に影響を与えうるその他のリスク、圧力、社内政治にはどのようなものがあるか。
・ 個人的要因:顧客に影響を与える可能性がある感情的要素、または個人的なニーズが存在するか。
ペルソナを人間として考えることは有用だが、ペルソナと人間の違いを忘れてはならない。ペルソナは調査とデータに基づく有益な情報を提供して、マーケティングの取り組みを正しい方向に導き、営業担当者による未知の顧客へのアプローチの準備を支える。ただし、あくまで一般化に過ぎない。
マーケティングはターゲティング設定手法やアカウントベースのマーケティング(ABM)のおかげで進化してはいるものの、多くは「1対多」のアプローチにとどまっている。営業は現代でも「1対1」または「1対少数」の活動だ。営業をかける際はまずペルソナのデータを最大化するべきだが、その後はペルソナ調査の枠を超え、実際の商談相手に関する深い知識を得る必要がある。
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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