【前回の記事を読む】組織の内部システムに「システム思考」を使用。最も優れた成果を生むと考えるシステム4つを紹介

第2章 顧客理解

営業という職種は、いまだに顧客中心の視点に移行できていない。もちろん顧客中心の概念自体は目新しいものではなく、オピニオンリーダーや先進的な営業のプロフェッショナルが長年にわたり実践している。だが、残念ながら広く普及しているとは言えない。過去数年にわたり、B2Bの購買調査では顧客が営業の行動に不満を抱いていることが指摘され続けている。

私は、市場と顧客をより深く理解することを「顧客理解」と呼んでいる。セールスイネーブラーの役割が、営業チームの有効性をさらに高いレベルに導くことだとすれば、顧客理解は必要不可欠なビルディングブロック(構成要素)だ。

マーケティング部門や、前線の営業担当者とマネージャーの視点を含めることも有用だが、社内から社外への視点だけに基づいてペルソナを作成してはいけない。顧客理解とペルソナ設定は、市場調査や実際の顧客あるいは顧客の立場に近い人物との話し合いをもとに行うことをおすすめする。必要な市場調査を行うにあたって社内に十分な知見が存在しない場合は、専門家をアウトソースする必要がある。

役割と目標を持つペルソナ、およびCOIN - OPの定義

顧客のペルソナ設定に対するさまざまなアプローチについては、より詳しい見解がすでに示されている(私はトニー・ザンビート【訳注:ユーザーペルソナの概念をもとに顧客を理解する方法として「顧客のペルソナ」という考え方を発展させた人物】やアデル・リヴェラ【訳注:「バイヤー・ペルソナ・インスティチュート」のCEO。多くのマーケターや起業家の育成に取り組んでいる】の手法から多くを学んだ)が、本章にもいくつか助言を載せる。

有益なペルソナとは顧客の簡単なプロフィールにとどまらないものの、このプロフィールという概念を通じてペルソナとは何かを理解できるようになる。

企業のプロフィールである「理想の顧客特性(ICP)」とは異なり、顧客のペルソナとは一般的に企業の製品とサービスの購買に関与する各役割を担う顧客の詳細な説明である。