「はい。すみません。でも良かったです。新規を必ず、探してきます」
「よし、分かった。それでいい」
岸君はホッとして、帰っていった。
「社長、今伺いたいんですが、いいですか」
社長室。
「どうした。珍しいな」
「昨日さ、嫌な接待を受けたんだ。実は、ミサイヤの営業部長が、僕のワイシャツに口紅を付けさせ、イヤリングの片方をポケットに入れ、弱みを握ろうとしていたんだ。
香子が、何これ!と怒ってきたから分かった。三回接待受けたから、三回同じ事をしたようだ。香子は堪忍袋の緒が切れ『離婚したいの?』と言ったんだ。
僕は何の事か分からず、驚いて『なにを言っている!』と言った。三回目だったようだ。許せない。取引を打ち切る。あんな幹部の居る会社は未来が無い。新規を探した方が早い。以上、報告だ」
「分かった。任せる。営業部長も相手が悪かったな。アハハハハ」
その場で、ミサイヤに電話をした。
「三階堂の山岡です。営業部長の飯山さんをお願いいたします……三階堂の山岡です。先日はありがとうございました」
「いえいえ、喜んで頂きましたでしょうか」
「今日は、お取引の中止の件で連絡しました。あなたのような営業部長が居る会社とは、お取引は出来ません。今月いっぱいで取引は終了です。
僕の弱みを握ろうとしたと思いますが、僕は妻以外の女性には興味が無いんです。素晴らしい妻がいます。これからは、営業方法を考えた方が会社の為ですよ。それでは」
「おおー、怖いよ。丈にぃ。いや、監査役。でも、良かった。悪い噂しか聞こえなかったから、いいチャンスだった」
「担当の岸もホッとしていた。新規を開拓しますと爽やかに帰っていったんだ。社員も救えたよ」
次回更新は10月15日(水)、22時の予定です。
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