【前回記事を読む】「もう一度だけリベンジさせてください」と10年越しの告白への返答は「独身なの?」――同窓会の夜に動き出す、予測不能な恋の行方

第1灯目 ふたりの渚に恋の予感?

「旅行はしないの?」

「大学生の頃は貧乏旅行とかしていたけど、今はまったくしませんね。旅行って疲れるから……休日はなるべく自宅でくつろぎたいですね」

津田の話を聞いて、お姉さんは「インドア派かよ!」と心の中でツッコミを入れた。

「あのう、スポーツジムのお仕事ってインストラクターですか?」お姉さんが唐突に話題を変えた。

「以前はインストラクター専門だったけれど、今はマネージメントがメインになっていますね。トレーニングは趣味程度で続けていますけど……」

「変な質問してもいいかしら?」

「何でも聞いてください。そのほうが俺も聞きやすくなるんで……」

「津田さんは長男ですか?」

「いいえ。俺は三男坊で末っ子です。なんでしたら婿養子(むこようし)も可能ですよ」

「そうなんだ。私は兄が二人いて、長女だけど末っ子です。ちょっとだけ似ていますね」

「白石さん、婿養子ってワードをスルーしましたよね。結婚には興味なしですか?」

「えっ、そんなことはないですよ。ご縁があればって思っていますけど……」

「あれっ? これってご縁には含まれないのかな」

「津田さんは結構ストレートなのね。たしかにご縁かもしれないけど……とりあえず、友達から始めませんか?」

「白石さんは慎重派(しんちょうは)みたいですね。いいですよ、これから猛(もう)アタックさせてもらいます」

「猛アタックって……なんだか昭和っぽいですよね」

「やっぱりそうかな……俺、おじいちゃん子だったから」

「良かったら今度、高山へ来てください。ご案内しますよ」

「それってデートですか?」

「さあ、どうでしょう……」