【前回記事を読む】「俺みたいな年下ってダメですか?」――あまり気乗りしなかった合コン。スポーツマンタイプの彼から声をかけられ横に座ると…

第1灯目 ふたりの渚に恋の予感?

「津田さんはいいんですか?」

「俺は白石さんと話がしたいので、このほうが好都合ですよ」

「じゃあ、ワインを飲みましょう!」

イケちゃんは、杏子とタマちゃんと一緒に2次会の店に到着した。幹事の松原が手配した店のようだが、ハッキリ言って狭い。すでに10人くらいがいるけれど、空(あ)いている席は見当たらない。

「ねえ、座る所がないよ!」

杏子が松原に向かって文句を言った。

「大丈夫、奥に確保してありますから……さあ、みなさん奥へどうぞ」

店の奥へ進むと松原がカーテンを開ける。そこにはソファとテーブルがあり、六人くらいがゆったりと座れそうだ。

「このソファ素敵だわ。私はここにしよっと!」

タマちゃんは大きいほうのソファの端にもたれかかる。

「私もそこがいい!」

杏子も大きいほうのソファに座ってくつろぎのポーズをしている。二人の様子を見て、イケちゃんは小さいほうのソファに腰を下ろした。すると、その隣に松原が座った。

「では、只今より2次会を始めましょう!」

テーブルの上にはお酒やジュースが置かれている。松原はシャンパンをグラスに注ぎ、彼女たちにグラスを渡してから話し出した。

「さあ、みなさん。乾杯をしましょう。再会を祝してカンパ〜イ!」

ハイテンションの松原とグラスを合わせると、イケちゃんはシャンパンを一気に飲んだ。

「ナギちゃん、いい飲みっぷりね」

タマちゃんが見たままを言うと、杏子がイケちゃんに向かって真顔で言う。

「早めに決着をつけたほうがいいわよ。松原君はマジみたいだから……変に期待を持たせると後が面倒だよ。その気がないならバシッとね。それから……」

杏子が最後まで言い終わらないうちに、松原がイケちゃんに向かって語りかけた。

「高校時代にフラれてしまいましたが、もう一度だけリベンジさせてください。まずは友達からお願いします!」