【前回の記事を読む】「父さんのために出来ることは全部やろう!」——そう決めた彼は週2日で監査役として会社をサポートすることになり…

第四章 不運が招いた縁

幸也から説明があり、今後の僕の役割を話した。

僕から、

「お願いがあります。僕は、複合機は知りません。午後、営業から複合機のプレゼンをお願いします。営業の大橋部長、いつもやっている提案でいいですので、二時からお願いいたします。資料、価格表と他社の価格表があれば準備をお願いいたします。

早速ですが、各部長、業務の内容を水曜日までに、僕に提出してください。それと、秘書室の担当も、水曜日の午後、僕の部屋で打合せをお願いします。金曜日は午後から部署ごとに、打合せをします。今、行っている業務内容を把握したいのです。

もう一つ、吉田の入札で、二円高くて、他社に負けています。この二円の差を営業課で説明してください。今年は入札の年です。今期は必ず、取りに行きましょう!

プレゼンは僕も参加します。大きい物件です。食らいつきましょう」と一時間で会議を切り上げ、幸也と打合せ。

幸也は安心している様子。お昼を取りながら、会社の内容、決算書へ目を通した。決算内容は悪くない。だが新規取引社が増えてない。営業成績が伸び悩んでいるようだ。

「幸也、いや、社長、営業マンが減ったのかな。新規顧客が増えてないな。前年度と同じだな」

「僕も気になっているんだ。訪問件数が、前年度より八パーセント減っている。営業がマンネリ化?」

「その可能性があるな。営業が伸びないと、数字が割れる。よし、営業からメスを入れよう。僕のやり方でやってみる。タイミング良く、二か月後に吉田の入札がある。必ず、とるぞう」

めらめらと、ふつふつと、心が燃えてきた。幸也がジッと見ている。