「どうした? 社長」

「兄貴、いや、監査役、何か営業の面構えになっている」

「ああ~、必ず、取るぞう! アハハハハ」

 

午後、一時三十分、営業から複合機の説明を受けた。

素朴に、

「複合機にわざわざ、立って取りに行くのは面倒だから、自分の席でコピーは取れないのですか? 例えば時間が無い場合、営業先から、次の営業資料を携帯から、遠隔操作は出来ませんか?

朝、出勤前に資料をコピーする時間設定とかは出来ませんか? その時間は外の仕事に使える。いかに時短が出来るか、簡単に操作が出来るかがカギですね」

「監査役、恥ずかしながら、そこまでは考えていなかった。ありがとうございます。今、出来る案を直ぐに確認します」

「徹底的に、調べてください。プレゼンに活かせると思います。それと、吉田の入札で二円の差の理由を教えてほしい」

「枚数単価でどうしても、二円の値差が詰められなかったんです。悔しかったです」

「待てよ。値下げするのではなく……特徴では負けていないんだよね。う~ん、何だろう。画像もうちがいいと……えっ! そういえば、ミスコピーが多いと聞いた事があるが。単純にミスコピーを減らす方法を提供した事は?」

「……ありません」