【前回の記事を読む】工場で棚が崩れ専務をかばった副社長が大けが…。手術は長引き、家族は不安な時間を過ごしていた

第四章 不運が招いた縁

三十分もすると、顔をゆがめている。辛そう。手を握ってあげるしか出来ない。ごめんね。

痛みが、ひどくなっている様子。

「丈哉さん、看護師さん呼びましょうね」

「いや、まだ大丈夫」

見ているのが辛い。私は何をしてあげればいいか分からない。歯がゆい。

十一時頃、看護師さんが来て、

「痛かったら、我慢しないで大丈夫ですよ。痛み止めを打ちましょうね」と。

しばらくすると、寝た。

安心。ソファーに横になった。四時頃、痛みで目が覚めた。看護師さんを呼んで、痛み止めを打ってもらった。

 

朝、七時に目を覚ました。気のせいか、昨日より少し楽そうだ。水を飲んで目を閉じている。

「山岡、どうだ? 痛いだろう」

「高橋、また、世話になったな。ありがとう。お前とは縁があるなぁ」

「僕もそう感じるよ。僕は、お前のヒーローだな。アハハハハ」

「今回は、認めようかな」

「おっ、今日は嫌に素直だな」

「お前のおかげで、手術は成功したからな」

「いや、秘書の高木さんの応急処置が素晴らしかった。完璧だったよ。いい秘書だな」

「ああ、最近は、僕の心が見えるとか言うんだよ。変な奴だよ。仕事は完璧だ」

「山岡、今日から三日間は痛いと思う。香子さんに甘えながら、頑張れよ。酷い時は、看護師を呼んで」