第1章 発心の道場――徳島県[阿波の国]
徳島県(阿波の国)の霊場は「発心の道場」と言われ、仏の道に入ることを決意する門です。お遍路を決意し、1番札所霊山寺で発願し、弘法大師の足跡を辿る長い修行の旅を始めます。1番札所霊山寺から23番札所薬王寺までの23霊場、約240キロを8日間かけてお遍路します。
初日 拝礼作法が身についていない(3月13日)
徳島県(阿波の国)の霊場は「発心の道場」と言われ、仏の道に入ることを決意する門です。お遍路を決意し、1番札所霊山寺で発願し、弘法大師の足跡を辿る長い修行の旅を始めます。1番札所霊山寺から23番札所薬王寺までの23霊場、約240キロを8日間かけてお遍路します。
朝5時、事前にセットしていたCeline Dionの『The Power Of Love』が携帯電話から聞こえてきました。四国八十八ヶ寺歩きお遍路の初日です。1番札所霊山寺(りょうぜんじ)から6番札所安楽寺(あんらくじ)までの6霊場を巡拝します。
厚い雲の下で木立が大きく揺れていますが、雨は降っていません。雨男としては、幸先の良い朝です。朝7時を少し過ぎて、四国八十八ヶ寺歩きお遍路の第一歩を踏み出しました。1番札所竺和山一乗院霊山寺は、本堂が灯籠で埋め尽くされ、荘厳な雰囲気を漂わせています。
札所での作法は、事前に覚えていたつもりでしたが、頭が真っ白になり飛んでしまっています。御朱印の墨が乾くのを待ちながら、いよいよ始まるんだと高ぶる気持ちを落ち着かせました。
御朱印帳を頭陀袋に入れ、境内を散策することなく、次の札所に向かいます。歩きお遍路には必須と言われている、『四国遍路ひとり歩き同行二人』(一般社団法人へんろみち保存協力会編)という、遍路道や距離数が記載されている図書を手にし、遍路道の電柱や道路のガードレールに貼られている矢印を探しながら歩きます。
2番札所日照山無量寿院極楽寺(ごくらくじ)までは、畑の中の遍路道です。境内には弘法大師お手植えの樹齢1200年以上の「長命杉」が高くそびえています。
この長命杉に限ったことではありませんが、樹ってすごいなぁっていつも思います。同じ場所でじっと動かず、四季折々の顔を見せながら生き続けています。私たちが短い時間を右往左往しながら暮らしているのをどのように見ているのでしょう。
