【前回の記事を読む】【ビジネス書】今よりも強い"調達組織"を目指している方必見! 調達歴20年以上の著者が明かす「最適な調達組織」と人材育成

第1章 調達の意義と効果

「調達(Procurement)」とは、「交渉プロセス(Sourcing)と「購買プロセス(Purchasing)」から構成されており、調達の範囲は大きく、直接材、間接資材、アウトソーシングサービス、設備の4つに分類されます。

そして、調達活動を円滑に進める上では、1年間の目標となる調達コスト削減額の算出方法、3~5年間の中長期計画の策定方法について明確化していくことが肝要です。

1 調達の定義

最初に「調達」という言葉の定義から始めます。

本書では、調達(Procurement)とは、事業推進上、必要な資材・サービスを用意する全てのプロセスと位置づけます。

つまりサプライヤー※からの情報収集・選定から実際の発注・支払までの一連のプロセスとなります。

そして、その一連のプロセスの前半を交渉プロセス(Sourcing Process)と呼びサプライヤーからの情報収集~価格交渉~選定~契約締結とし、後半を購買プロセス(Purchasing Process)と呼び発注~納品・検品~請求照合~支払とします。(図表 1-1参照)

交渉プロセス(Sourcing Process)では、サプライヤーからの情報収集、市場・価格等の冷静な分析力と、社内の関係各部署への説明等により協力を得るための丁寧なコミュニケーション力、そして社外のサプライヤーとの論理的な交渉力が求められます。

一方、購買プロセス(Purchasing Process)では、支払(買掛金)処理時に必要な経理・会計の専門スキル、定型業務の生産性を向上するための業務改善スキル、そして購買システムを深く理解するための IT スキルが求められます。

用語解説

サプライヤー … 購入先・相手先のことであり、取引先を意味する。