その言葉にあまりよいイメージはありません。今はたぶん違うと思いますが、以前は特別養護老人ホームに行くと、介護のスタッフが「おじいさん、おばあさん」という言葉を使って利用者を呼んでいました。

まるで子供扱いです。言葉を聞いて、私は大きな違和感を持ちました。個人に対して使う「おじいさん」などの呼び方には、人間の個性に対する尊厳はありません。

毎日接する人に対し、一般名称で扱うのは、それぞれの人を尊重していないからだと思います。宮崎駿監督のアニメ『千と千尋の神隠し』でも名前の重要性がテーマとして扱われています。

当然に利用者の皆さんをそれぞれの名前で呼ぶべきです。私たちの親はどの親も、程度の差はあれ、実は皆オリジナルでかなり個性的な親です。皆さまは自身の親のことを理解できていますでしょうか。

私がいつか終活に関する本を書きたいと思った10年ほど前には、世の中に終活の本はほぼなく、時々著名な小説家がおもしろおかしく書き下ろした随筆があっただけでした。

それはそれで楽しくは読めましたが、自分の終活に役立つわけではありません。それでも10 年経つと、かなりいろんな終活に関する本を見かけるようになりました。

しかし、多くの本の著者は、葬儀社関係か医療・福祉関係、税理士・弁護士の方で、高齢者本人ではなく、終活のサービスを提供する人や高齢者の医療や介護のお世話をする人、相続対策や相続税対策を勧める専門家が執筆しています。

 

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