【前回記事を読む】朝だるくて起きられず、学校を休みがちになった女子生徒。投薬治療でも改善せず、検査でも常なし。その意外な原因は…!?

第一章 副腎疲労とは何か 

【ケース① 軽度の副腎疲労】
朝だるくて起きられず学校を休みがちになってしまったA子さん

「副腎ホルモン」には何種類かあります。その中の「コルチゾール」というホルモンは、私たちの体にストレスが加わった際に作り出され、ストレスに抗して正常な体の状態を維持するように働き、ストレスに打ち勝って頑張ることを促します。

そのため、私は「コルチゾール」のことを「ストレス対応ホルモン」と呼んでいます。

例えば、精神的なストレスとなる受験や皆の前でスピーチをする時には、このストレス対応ホルモンの分泌が増加します。

また、身体的なストレスとなる大怪我や手術をした時にもこのストレス対応ホルモンの分泌が増加します。

さて、A子さんは、中学1年の夏休み明け頃から次第に朝起きるのが大変になってしまいましたが、それには環境の変化が関係していると考えられます。「中1の壁」という言葉があります。

中学生になると、学校によっては今まで6年間一緒だった仲間と別々になったり、教科別に先生が授業をし、学習量もどっと増えたりします。

また、学期ごとの試験や部活動が新たに始まり、校則が一段と厳しくなるなど、大きく環境が変わります。

先輩・後輩の関係、新しい友人との関係など、特に入学直後は人間関係の変化により緊張を強いられる機会も増えます。

そのため、A子さんにも大きなストレスがかかり、ストレス対応ホルモンが持続的に多く必要とされる場面があったと思われます。

A子さんの副腎で作られるストレス対応ホルモン量に対して中学でのストレス量のほうが大きく、ストレス対応ホルモンが不足したと考えられます。これが「副腎疲労」です。