【前回の記事を読む】「前の妻です。あなたにお話しがあって来ました」——突然、元妻だと名乗る女性が訪ねてきた。家の中に入れて話を聞くと…

第三章 新しい家族

「えッ! どうしてですか?」

「丈哉とは嫌いで別れたわけではないの。あなたは、私の代わりなのよ!」

「違います! あなたは勘違いをしている。丈哉さんは私のものです!」

「はっきり言うのね。丈哉は子供が望めないのよ」

「それが何ですか!」

「知っているのね。私は子供が欲しくて別れたけど、まだ愛しているの」

携帯が鳴った。見たら、丈哉さんだった。出なかった。

「丈哉ね。出ないでいいの?」

また、鳴った。出なかった。

「私が来ている、と伝えていいのよ」

「前に会った時、お話は終わったと聞いています」

「私は諦めきれないの。あなたが別れたら、チャンスはあると思ったの」

「あなたの為に、愛している丈哉さんと別れるのですか!」

「お願いしているのよ」

「凄く、身勝手です!」

「あなたは若いから、やり直せるでしょう?」

「丈哉さんの気持ちはどうでもいいんですか!」

「大丈夫よ。一緒に住んだら、気持ちが私に戻るから。自信があるわ」

「………」