【前回の記事を読む】「離婚して初めて分かったんだ。彼女の事、愛していた!」——今さら都合の良すぎることを言い始めた元夫。それを聞いた義父は…
第三章 新しい家族
夕食時、香子が、
「ねぇ、犬も、飼い主に似るのかな?」
「どうして?」
僕が味噌汁を飲もうとした時、
「だって、太郎はすきあれば、花ちゃんに乗ろうとするの!」
僕は味噌汁を吹き出した。
「嫌だ~、丈哉さん」
香子は僕を見て吹き出している。今度は僕の頬にワカメが付いているのを見て、大笑い。香子は本当に絶妙なタイミングでボケを入れてくる。ごく自然に。それに不思議とボケが入るとき、ワカメの味噌汁だ。
「太郎は、僕に似ている?」という言い草を思い出し、箸を置いて、涙が出る程笑った。
しばらくして、箸を持って「続きがあるのかい?」と言うだけで、吹き出しそう。
「それでね、洗濯物を取り込もうとしたら、繋がっているの。あら太郎、成功したのね。ねぇ、どうして繋がったら、お互い反対を向いているの? 太郎……おちんちんは痛くないのかしら」
またもや、絶妙なタイミング、僕は、ミニトマトを口に入れたところで、おかしくて、プッと口から出て、香子の所までコロコロと転がった。
「嫌だ~。どうしたの、今日は」と手でつまんで、香子は、自分の口に入れて食べた。
その行動に、ゾクゾクし、感動を覚えた。母以外に、僕の口から出た物を食べる人がいた。
「あら、トマト食べたかったの。ごめんなさい。食べちゃった。うふふふ」
おおー、愛おしくてたまらない。お腹が痛いぐらい笑った日だった。
花ちゃんが来て、三か月が過ぎた頃、花ちゃんのおっぱいからお乳が出ている。
「えっ! 花ちゃん、妊娠しているの!」
凄い、ネットで確認して食事に気を付けなくっちゃ。土曜日に、病院に連れていこう。