「話したい！」振り向いたら元夫がいた。「もう会わないって言ったのに…！」駅のトイレに逃げ込み15分後、外を見たら…

「分かりましたね。必ず行くので、待っていてください」

金曜日、丈哉さん、中山家に着いた。お父様らしき方が、出迎えてくれた。

「どちら様ですか？」

「山岡といいます。香子の夫です。今日は弁護士を立てて、話しに来ました。上がってよろしいですか」

「香子さんのご主人が、どうしたんでしょうか。まぁ、どうぞ」

「今日、伺う事は聞いていましたか？」

「いいえ、なにも聞いていませんが、何かあったんですか？　お座りください」

「まず、三か月前に中山……久さんが、話があると呼び出して妻と会ったそうです。その時妻に、離婚して自分と再婚してほしいと話したそうです」

「えっ！　久も結婚して子供もいますよ」

「自分が子供を引き取って離婚するから、妻に子育て、家事と両親の面倒を見てほしい。仕事もしないでいいからと言ったそうです。香子はあまりの事に、ショックで返す言葉が見つからず、黙っていたら、君が再婚したのは許してあげるからと。

妻は、私をバカにしている、侮辱していると思い、あなたの顔も見たくない、どこかで会っても声をかけないでと言ったのに、水曜日、偶然に会ってしまい、声を掛けてきたので、僕に電話がありました。駆けつけて、今日の運びになりました」

すると、お父さんはみるみるうちに顔が真っ赤になり、大きな声で、

「馬鹿者！　よくもそんな事を香子さんに言えたもんだな、久！」

「恥ずかしくないのか！　常識のある人なら、そんな事は言えないはずだ！　子供が出来ないからと言って離婚し、家から追い出して、俺は心が痛かった。香子さんに済まなくて、ずっと気になっていたんだ。香子さんは文句も言わず離婚に応じてくれた。母さんとお前は喜んでいただろう。俺は悲しかった……それを久はどの口で言ったんだ！　恥を知れ！」

次回更新は9月21日（日）、22時の予定です。

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