トブラローネは、100年以上前から世界中で愛されるロングセラー商品で、輸入品を扱うお店には必ずラインナップされています。
その形はマッターホルンをイメージしており、現在はアメリカの製菓会社がブランドを所有していますが、実は1908年にスイスで誕生しました。
その後、スイスでは国を守るため、国境近くで戦車侵入防止用に一列に設置されたコンクリート製の戦車防御物をこのチョコレートの形になぞらえて「トブラローネ・ライン」と呼ぶようになりました。
冷戦時の歴史的遺産ともいえるこの防護柵は、スイスをハイキングしていると、突然出くわすことがあります。初めてこれを野原の中で見た時には、甘いチョコレートと戦争というイメージのギャップにぎょっ!としました。
国のイメージを大切にするスイス
私は、毎日、スイスの現地新聞に目を通し、それを要約してブログ(スイスからQuality of Lifeブログ~/巻末2参照)に書いていました。
そもそも、スイスは自国のイメージについて、国全体をブランドと捉えるほど、細心の注意を払っていると私は感じます。
なぜなら、スイス高級時計にあるようなスイスメイドという戦略に基づいたブランド価値を高めていく、そんなマーケティング戦略が頻繁に見受けられたからです。
他にも、スイスの国会でスイス製(made in Switzerland)の内容について、盛んに議論された結果、2017年からスイス国内製造の基準を満たさない場合には、商品にスイスの国旗やシンボルを勝手に使用できない法律が制定されたこともその理由の一つです。
次にスイス人というイメージについて、専ら私の主観! ですが、次のようなものがあります。
「自分の国は一番という意識が強い。つまり、プライドが高く、頑固で、簡単には同調しない」
私はドイツ語圏の方に長く住んでいたので、もし、最初からフランス語圏により長く住んでいたら、印象も多少違っていたかもしれませんが、基本的には同じです。

つまり、日本人とはその点、真逆です。日本人はむしろ、自分の国にもっと誇りを持つべきだとさえ思います。
あるTV 番組で、日本の職人さんがふらっと外国から来て初めて会う人に、易々と大切な技術を教えたり、高価な日本の品物をあげてしまうのを見ると、そんな簡単に渡してしまっていいの!? と憤慨してしまうのは私だけでしょうか?
スイスは、多種多様な民族と言語の人々が住んでいる国です。国民の3分の1は外国にルーツを持ち、地域によって使用される言葉も異なります。
そのため、髪の色や文化的背景など「典型的なスイス人」という定義をすることは困難です。