俺は特に何も期待せずそう言った。易者は次も万人に当てはまるセリフを言うはず……。
ところが、彼女は俺が予想もしていなかったことを言い出した。
「あんた、3か所から裏切られて絶望のどん底にいるね。とても悲惨な『卦(け)』がトリプルで出ているよ。ン~、こりゃひどい」
「えっ3か所から? ハハ、そりゃすごい……」
俺はちょっとだけ感心してしまったが、いやいやこれも偶然で、よくある脅し文句なのだろうと思い返した。鑑定料を払って立ち去ろうとした俺の腕を、易者はとても婆さんとは思えない力で引っ張って椅子に戻した。
「それは今までのあなた。ここからはちょっと面白い運命が待っているんだから」
もしかすると、婆さんはどこかの宗教団体とつながっていて高額なものでも買わそうとしているのか?
俺は警戒して「そんなこと言っても幸運のグッズとかは買いませんよ。お金もないし」と言うと、
易者は笑いながら「ウフフ、誰も信じられないんだね。あんた。今まで辛かったものねえ」と言ったので、俺は不覚にも泣きそうになった。
そのタイミングで、「あんた、突然だけど選挙に出てみなさい。人生がビックリするような展開を見せるから」などと、彼女はとんでもないことを言い出したのだ。
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