【前回の記事を読む】高齢者は「お荷物」ではない! 年金制度も崩壊しない! テクノロジーの活用によって、高齢者の“豊かな経験”を活かせる社会
第2章 泡沫候補8人、ユーチューブでSNS界隈を騒がす!!
田乃郷陽介 高齢者が働きやすい社会へ「たのGO」提言
無 新 69歳 元海運会社会長
「また仕事現場も工夫して開放型オフィスを作ります、これは廊下に仕切りのないオフィスという意味で、企業の枠を超えて地域単位で設営します。パソコンを使った仕事が中心なので、パソコンの技術者が医師や介護職員と共に常駐します。
開放型工場や家電修理工房もいいでしょう。このように仕事環境を整えることで、戦後の復興を支えてきたベテラン技術者たちが、もう一度働けるようになれると考えます」
〈昔の家電品の修理ができたらうれしい。ウチのも直してもらいたい〉
「年を取っても常に前向きに人生を考えるというのはいいですね」
大学教授の真奈美が田乃郷の主張に相槌を打った。
「ありがとうございます。高齢者を積極的に活用するこれらの方策は高齢者を厄介な存在としてケアハウスに押し込めればいいという考え方にあらがう発想です。それと、こうした仕事をする老人のために個人型確定拠出年金などの年齢制限は引き上げてもらいたいですね」
〈iDeCoのことかな? 俺は金がないからどうせ入れないけど。www〉
「それに仕事を失った年金生活者は、資産をほとんど使わないという調査もあるんです」
田乃郷はポケットからメモを取り出して、それを読んだ。
「例えばビル・パーキンスの『DIE WITH ZERO』という本によれば、資産が多く裕福な人の場合、老後にそのお金を使う総額はわずか12%程度だそうです。資産が少なくて生活の苦しい人では生活のためにその資産を切り崩しますが、それでも25%ほどしか使わないそうです。
要するに高齢者は倹約してお金を使わないのです。だからいくら資産を持っていても、それが市場に出回らないわけです。しかし高齢者だって仕事があれば、そこで得たお金は使います。日本のように高齢者の割合が増える社会で、彼らから仕事を取り上げてしまうと、社会全体が不況に陥るということが、この調査結果からも分かるのではないでしょうかね」
「なるほど。高齢者がもう一度働ける環境を整えるべし。それこそが日本のためになるということですね」
「ただ、肉体の衰えは機械がサポートできると思うが、認知症が進んだ場合は、やはりしっかりとしたケアや治療が必要になる。それなのに認知症を疑われる者が老人である場合には、薬があっても使ってもらえないことが多い。大病院には認知症センターもあるが、これも紹介がないと診察をしてもらえません。
かかりつけ医は老人が認知症でも当たり前だと考えているので、大病院の認知症センターに紹介などしない。要するに日本ではいろいろと入れ物だけは作るが利用することが事実上できないものが多いんです」